熱希釈式肺動脈カテーテルで計測できないのはどれか。
1: 混合静脈血酸素飽和度
2: 左室収縮期圧
3: 中心静脈圧
4: 心拍出量
5: 肺動脈圧
肺動脈カテーテルでは、右房圧(RAP)、右室圧(RVP)、肺動脈圧(PAP)、肺動脈楔入圧(PAWP)、心拍出量(CO)、心係数(CI)を測定し、心機能や心不全の血行動態を評価することができる。
1:混合静脈血酸素飽和度(SvO2)は、全身の血流・冠静脈洞からの混合静脈血の酸素飽度のことで、組織への酸素の需要供給バランスを連続してモニタリングすることができる。
2:正解。圧測定は、静脈血が流れる経路に限定される。左心系である左心室内圧は、測定できない。
3:中心静脈圧は、右心房に近い胸腔内の上下大静脈圧で、循環動態の管理、体液量の把握に必要である。中心静脈圧の値は、右房圧(RAP)と胸腔内大静脈圧と等しい(中心静脈圧=右房圧=胸腔内大静脈圧)。中心静脈圧の正常値は、5~10mmHg。値は、右心室の収縮力・循環血液量に依存する。
4:熱希釈法を用いて測定する。サーマルフィラメントが付加されたカテーテルでは、パルス状通電による熱変化から心拍出量の連続的な測定が行える。
5:正常値は収縮期圧30~15mmHg、拡張期圧8~2mmHg、平均圧18~9mmHgとされており、肺高血圧症診断のために測定される。肺動脈圧が高いと右心室に負荷がかかるため、心臓のポンプ機能が低下し、心拍出量の減少や全身の浮腫を引き起こす。